ハナ*ハナ
「幸せになる呪いしか伝えない」



リュウと母は
人の願いを叶える力を持っていた。


その力を誰かの
幸せの為にしか使わなかったが
自らを諌める為にか
自分のもつ この力は
『呪い』なんだと、よく言っていた。



子供のころ
その言葉の意味が
わからなかったが
大人になった今、
その言葉の意味が
もっとよくわからない。



なぜ母は
人を幸せにしてきたその力を
『呪い』だなんて
言っていたのだろうか。



俺はリュウが
この仕事をやりたいと言った時
ひとつだけ
約束してもらった。


母の時とは、ひとつだけ違うこと。


それは決して依頼人に
リュウの顔を
見せないことだった。

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