ハナ*ハナ
「そろそろ・・・起きるか」



寝不足のせいか
頭が重かった。


ぐだぐだと着替え
顔を洗おうと外に出たとき
すこしバツの悪そうな顔をしながら
傘を差してたたずむ
晴信くんがそこには立っていた。



「こんな朝早くに、すみません。
 昨晩のお礼を・・・と思って」


ボサボサの髪をして
俺がまだ寝起きであったことを
気にかけながら
頭をかいて、彼は言った。



「いや、そんなお礼なんて・・・」



俺はこれから
晴信くんに起こるだろうことを考え
彼と目があわせられなかった。



「・・・実は煉さんに
 お聞きしたいこともあって・・・。
 すこし・・・いいですか?」


晴信くんが
神妙な面持ちで、俺に言う。


言いにくい話なのだろう。


しばらくは
どうでもいいような世間話を
だらだらとつづけていたが
次第に晴信くんの顔は高潮し
彼は何か言いたげに
落ち着きがなくなっていった。


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