ハナ*ハナ
雨足がさっきより
弱まりつつあったが

俺たちの頭上にある
柳の木からは
時おりたまった雨水が
いきおいよく下へと落ち
傘を持つ手に力が入る。


俺は彼が何を訊き
何を話したいのか
うすうすはわかっていたが
あえて触れずに
彼から言いだすのを待っていた。



しばらくのち
晴信くんが
腹に決めたという感じで
まじめな顔をして俺に聞いた。




「あの・・・
 こんなことを聞くのは
 失礼かもしれませんが
 おゆきと・・その、
 煉さんは・・・・」



俺は何も答えず
晴信くんをただじっと見つめた。


俺のその目に怯まずに
彼は話しを続ける。


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