ハナ*ハナ
「・・・おゆきは
 僕にとっては大切な妹です。
 もし煉さんと
 おつきあいしているのであれば・・」



「・・・つきあってないよ」


俺ははっきりと晴信くんに言った。

その時の晴信くんの顔には
何故か かすかに
落胆の色が浮かんでいた。



「・・・そうなんですか・・・。
 すみません、
 変なことを訊いて・・・。
 昨晩、煉さんが必死になって
 ゆきを捜してくれたので・・・。
 だからてっきり
 ふたりがつきあっているのだと・・・。」



「俺とおゆきさんは
 ただの友人です。
 それに彼女には
 ・・・・・慕っている相手がいる」




言おうかどうか迷った。


いや。
いつもの俺ならきっと
言わないセリフだろう。


けれど今
おゆきさんが
どれだけ思いつめているのかを
俺は彼に知ってほしかった。


あの手紙を
読んでしまった俺には
どうしても
言わずにはいられなかった。
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