ハナ*ハナ
きっとその言葉に
晴信くんは驚くと思っていた。


『相手は誰だ』と
いいだすかもしれない。


けれど俺が吐いた言葉の直後
紅潮していた
さっきまでの彼の顔は
青白く見えた。





(  まさか  )


俺は直感した。


「・・・知っていたのか・・・?
 彼女の気持ちを・・・」



半信半疑で
俺は晴信くんを問いただす。


彼は俺のほうは決して見ずに
かすかに、頷いた。



「・・・ずっと一緒にいましたから・・・。
 はじめはもちろん、気づかなかった。
 けれど皮肉なことに
 おれが、市と出会ってから
 ゆきの気持ちに
 気づいてしまったんです。」



うなだれて、晴信くんは言った。



「それじゃあどうして!!」


「・・・・・どうしてあんな、
 むごいことをするんだっ」
 

俺は彼にわめきたてた。
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