ハナ*ハナ
「ゆきのこと、よろしくお願いします」

晴信くんが言った。


「俺は婿に入ったら、
 こっちにはそんなに
 帰ってこられなくなるので」


晴信くんはお市さんとの結縁後
彼女の実家に入り、婿になる。


お市さんの生家は
この町から2日ほどかかる場所にあった。



( 俺もいつまで
  この町にいられるのかわからない )


そんな囁きが
俺の心から聞こえてきた。


「あいつは俺にとって
 なににもかえがたい
 大事な妹なんです。」


そう言い残し
晴信くんは雨のなか
自分のうちへと戻っていく。



そんな俺たちの
やり取りを見つめる
ひとりの人物に
俺たちは気づかずに・・・。


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