ハナ*ハナ
夢でもみているかのような
その風景に我にかえる。


「・・・おゆきさん!!」


俺の叫び声に
彼女ではなく
リュウがこちらを向いた。


俺はいそいで彼女に駆け寄った。


そばによってみると
おゆきさんは意識を失っていた。


倒れた彼女の体は
熱でもあるかのように
熱かった。


気を失ったということは
それだけ彼女の想いが
強かったせいだろう。


俺はぐったりと横たわった
おゆきさんを抱きかかえ
雨があたらないよう
近くにある木の下へと横に寝かせた。



「・・・ごめん・・・」


俺は眠る彼女にむかってつぶやいた。


「願い・・・叶えたんだよな・・・」



俺はリュウに背をむけたまま訊いた。



「ああ」



リュウが、ぶっきらぼうに答える。



「・・・・・ごめん・・・・・」



俺は、もう一度その言葉を呟いた。

今度は彼女にではなく
俺の・・・弟に。


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