ハナ*ハナ
「俺が仕事に行っても
 依頼金を持ちかえらないことがあったろう?」


「ああ」


そうだ。
リュウは時々
依頼人と会ったはずなのに
その依頼金を持ち帰らないことがあったっけ。
なんでだ?
ってずっと思っていたけど。



「『願いをきけなかった人』なんだよ。
 俺が依頼金を持ち帰らなかった時は。
 願いを叶えてもいないのに
 金だけとるわけにはいかないからな。
 お前はさんざんわめいてたけど」


リュウはしらっと言った。


「なっ、なんで今まで
 言わなかったんだよ!!」


「ん~。・・・面倒だったんだよ
 説明するのが」




「めっ、面倒ってなんだよ!!」


「だって煉、おまえ
 小難しいこと言ったって
 すぐに理解できないだろう?」


図星を指され、俺の顔がカッと熱くなる。


「だっ、だけど、 
 そうならそうと言ってくれれば
 俺だってそんなうるさく
 言わなかったのにさあ・・・』


そっぽを向いて俺は言った。
けれどリュウは


「いいんだよ。
 お前はそのままで」



リュウが、
リュウらしからぬ事を言ったと思った。

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