桜、ふわふわ ~キミからの I LOVE YOU~
グイッと力強く引っ張られる。

あたしは引きずられるようにして、国語準備室を出た。


振り返ることもなく前に進む菊池君。

その後姿をただ見つめることしかできない。



背の高さはイッペー君と同じぐらいかな。

だけど体はまだ出来上がってないって感じの少年っぽい華奢な体型。

肩幅なんかはイッペー君より狭いような気がする。

ゆるくパーマのかかった柔らかそうな茶色い髪が襟元で揺れてる。



菊池君が早足で歩くから、あたしはそれについていくのに必死だった。

ずっと握り締められている手首が痛い。



細く見えるけど、やっぱり男の子なんだ。

振りほどくなんて絶対無理だ。






< 177 / 302 >

この作品をシェア

pagetop