桜、ふわふわ ~キミからの I LOVE YOU~
――カチン

ひときわ大きく、ライターの蓋が閉じられた音が響いた。


イッペー君は、スーっと肩で一つ深呼吸する。


何か言われるんだ。

そう思った瞬間、あたしは立ち上がっていた。


「帰る……」


声が震える。

返事を聞くのが怖かった。


例え国語の答えがたくさんあったとしても、イッペー君からの返事はたった1つだってわかりきっていたから。


鞄を手にして、立ち去ろうとしたその時……



――ガタンッ

「サクラっ」

イッペー君が立ち上がる音と、あたしを呼ぶ声が同時に響いた。


「きゃっ」


< 60 / 302 >

この作品をシェア

pagetop