桜、ふわふわ ~キミからの I LOVE YOU~
なんで名前を呼ばれたんだろう。

不思議に思った瞬間。


また月が顔を出したのか、教室が明るくなった。


目の前にはイッペー君の顔。

目と目が合う。


それは2、3秒のことだったのかもしれないけど、あたしにはとてつもなく長い時間に感じた。

しばらく見つめあってから、イッペー君は目を伏せて、フッと息を吐き出した。


「恋バナの続き……しよっか」って。


その瞬間、あたしの体と手首は解放された。


イッペー君は大きく息を吐き出すとポケットからライターを取り出した。

でももちろんタバコに火をつけるわけではなく、蓋を開けたり閉めたり、カチカチ。


「……なんかさっきヤバかったな」

「う、うん。でも、見つからなくて良かった……」

「まぁ……そっちもヤバかってんけど……」

「ん……?」

「わかってないか……」ってブツブツ呟くイッペー君。


あたしはわけがわからず、キョトンとする。


「ま、えーか」


そう言って、ライターをパチンと閉じると、ジッとあたしを見つめた。


そして「で、さっきの続きやねんけどな……」と話を始めた。



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