花びらあげようか【短編】
「私が悲しくなくなったら、まるちゃんはいなくなっちゃうの?」


「違うよ!まるはいつもいるよ。…みなこちゃん…扉開けようか…」


振り返ると、さっきの小さな家が目の前にあった。さっきはたくさん歩いてここまで来たのに、目の前にある家。まるで着いて来ちゃったみたいに何食わぬ顔で建っていた。


まるちゃんの方を見ると頷いて一緒に扉のノブを掴んでくれた。


「…いや…開けたくない…開けたらまるちゃんに会えなくなる気がする…」

まるちゃんは「もう全部、大丈夫だから…」って言って私の力より強い力で一気に扉を開いた。目の前は真っ暗な世界。体は竜巻に吸い込まれたみたいな強い吸引力で扉の中に引きずり込まれる。

足が地面から離れた時、私は必死に振り返った…



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