Secret Romance*
終業式も終わり、私は一人廊下を歩いていた時だった。
「玉木ちゃ-ん」
―――…!
ゾクリと、背筋に鳥肌がたつ。
こんな不愉快極まりない呼び方をするやつは世界中に一人しかいない。
振り返ってその名を口にした。
「何よ…新田」
するとその男はいつものように口元を歪める。
「終業式の間…
何を笑ってたの?」
――…!
「…笑ってない!」
「笑ってたよ?
生徒の大半は玉木ちゃんの異常さに引いてたと思うけど」
――…嘘
「ま…またまた
私がそんなこと…」
「何で笑ってたの?」
私を無視して新田が尋ねてくる。
「だから…」
「玉木?」
新田の笑顔はどこか黒くなっていた。
――…う
「明日から冬休みだから…」
なんて、適当なことを述べてみる。
「そうなんだ。」
すると新田の顔が柔らかくなった。
「俺はまた…
玉木ちゃんがよからぬ事を考えてるんじゃないかって、思ったよ」
―――!