Secret Romance*
「…離してよ!」
「ん-…やだ。」
ニッと笑って新田は私の言葉を却下する。
――…恥ずかしい!
「離して-!」
「離せ!」
「離しなさいよ!」
何度叫んでも新田の気分は変わらないらしく、とうとう…
「いい加減黙らないと、このままホテルに連れ込むよ?」
――…!
それだけは、勘弁。
私は唇を噛み締めて、新田を睨み付けた。
「玉木ちゃんの手って冷たいね。」
「そりゃどうも。」
新田の話題に冷たく返す。
「知ってる?
手の冷たい人は、心が暖かい人なんだよ」
「……え」
「玉木ちゃん、実は善人?」
一歩後ろを歩く私を新田が振り返って尋ねる。
――私が…善人?
「バカじゃないの。
そうゆうあんたは手が暖かいわよ。
心が冷たい証拠ね」
クスリと笑って、言い放った。
「残念。俺の手が暖かい理由はこれだよ?」
そう言って新田は、反対のポケットから使い捨てカイロを取り出した。
――…!
「それがあるんなら、そっちを貸しなさいよ!」
私は叫ぶ。
しかし、すぐに却下された。