Secret Romance*
「…寒い…死ぬ…寒い…凍る」
カタカタと歯を鳴らせながら、呟く私にとうとう新田が声をかけた。
「じゃあ暖かいところに入る?」
「…ホテルとか言ったらぶっ殺すわよ?」
「…玉木ちゃん…
人かわったみたいに鋭くなったね…
それもいいけど、それはまた後でね」
嫌だと言ってるだろ…このスットコドッコイ。
私はひたすら新田を睨み付ける。
「ほら、ここに入ろう」
新田が足を止めて指差したのは、お洒落な洋食屋さんだった。
□
「あったかい…」
室内には暖房がかかっていて、私の体はみるみるうちに体温を取り戻していった。
「耐え症ないね…俺についてこれるかな」
――なんの話だよ
頬杖をついて私の顔をじっくり見る新田は、不気味な表情で笑う。
「ご注文は何になさいますか?」
私たちに、可愛い制服をしたウエイトレスが近寄って来て尋ねる。
「オムライス2つ。」
新田がニコリとした笑顔で返した。
「お飲み物は、よかったですか?」
「じゃあコーヒーと、ココアで」
――…?
「かしこまりました。
ごゆっくりどうぞ」
ウエイトレスはお辞儀をして去っていく。