Secret Romance*
「いくらなんでも、そんな不謹慎なこと言わないわよ!」
「うん。そーみたいで、よかった」
新田の手が伸びて私の唇に触れる。
――!
「…なにすっ」
「ごはんつぶついてるよ?」
ペロリと、指を舐める新田…
そんな恥ずかしい事するなよ…
私はいたたまれなくなって、席をたった。
そして物凄い勢いでトイレへと駆け込む。
□
「はぁはぁ…落ち着け、私」
洗面台に手を付いて、何度も小さく呟いた。
――あの男に翻弄されっぱなしなんて冗談じゃない!
「だいたいアイツは一体何がしたいのよ」
こんな寒い日に、目的地もなく街をブラブラしたり…
洋食屋さんで、ランチなんてしたり…
これじゃ本当に…
デ…
デ…
「デートみたいじゃん…」
ガクッと洗面台に崩れ落ちて、私は深いため息をついた。