堕ちる天使×美しき悪魔
「…じゃっ、俺は帰ります。
貴方も早くお帰りなさいね?
リオール坊ちゃん」
「…坊ちゃんやめろ。そしてその言葉遣いもやめろ」
「無理ー」
セシルは愉快そうにスキップを踏んでいった。
セシルが去った後
俺は森の奥をじっと眺めた。
人間界…悪魔…エリオーネル…
それら全てが、俺にとって魅力的で
憧れのものだ。
セシルや他の天使はそれを許さないが…。
「…もう少し…行ってみても大丈夫かな」
俺は少し奥まで行ってみることにした。
けれど、一歩踏み出すと
「……ぐっ…うぇ…」
吐き気と、言いようのない脱力感に襲われた。
なるほど、セシルはこれに堪えながら
あれだけ明るく振る舞ってんのか…。
「……クソッ…」
体中が痛くて立つことすらできない。
「リオールゥ…僕がいないときに一人でここに来ちゃダメじゃない」
人を小ばかにしたような声に顔をあげると
可愛いらしい格好をした少年が立っていた。
まるで女の子のような出で立ちだ。
「…フィン」
「僕の名はフィナール。
あだ名で呼ばないでよ!」