堕ちる天使×美しき悪魔


頬を膨らませて外方を向くその姿は、完璧に少女だった。


「悪かったよ、フィナール。
頼む、少し力を貸してくれ」

「……仕方ないなぁ」


フィンはまだ少し怒ったような顔をして、人差し指をクルンと振った。



すると、真珠色のベールが俺を包んだ。




フィンは天使ではない。


妖精だ。



といっても手乗りの小さな姿ではなく

幼児の姿だ。


妖精は年をとらないし、生まれたときから幼児の姿なので

俺はフィンの年を知らない。




「助かったぞ、フィン」

「フィ・ナ・ァ・ル!!」

「…細かい奴だな」

「僕がいなきゃこんな森も来れないくせに!!」

「五月蝿いな。今日は守りの石を忘れたんだ」



守りの石…それは俺が父である大天使から譲り受けた

人間界にいてもある程度の期間は毒から所有者の身を守ってくれる石だ。




「だろうね。だから持ってきたよ」

「気が利くな…フィン」


手を差し出したが、フィンは石を渡そうとしない。



「……」

「…フィナール…」

「はいっ、どーぉぞ」




いちいち難しい奴だな……。




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