文学乙女
あたしは、紺色っぽい何かを身に付けている彼の後ろ姿を見ていた。





男物のエプロンだ。





後ろのボタンを留めると、彼はあたしの方に向き直った。





「これでどうですか?」





「−あ!」





その姿を見た途端、あたしは絶句した。





「ミッフィーちゃんのエプロン…」





今も鮮明に覚えている。





あの時「本をお探しですか?」と訪ねてきた、あの文学青年だ。





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