文学乙女
「そうなんですか…」





なんだ、てっきり息子かと思った。





「すいません、お手間を取らせてしまって…」





「いえ……」





あたしは軽く頭を下げて、階段を上ろうとした時。





「あの…」





「はい」





「この後って、時間ありますか?」





「?−いえ、特に何も」





あたしは首を横に振る。





宣ちゃんと呼ばれた文学青年は、一瞬口をつぐむなり、かしこまって口を開く。




「……よかったら、一緒にお茶でもどうですか?」





「はい?」





思わぬ誘いに、あたしは目を見開いた。






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