文学乙女
「知り合いの人でもいるんですか?」





「いえ、そうじゃなくて…探してる人がいるもので」





「探してる人…」





「ちょっとすいません」





あたしはカバンから落書き用のノートとシャーペンを出して、あの人の似顔絵を描き始める。





といっても、有名画家や漫画家みたいに上手く描けるわけじゃないし。





ただ似顔絵をイラストで描くだけど。





絵でわからなくても、あの人の特徴を言えば、わかるかも知れないと思ったからである。





熱中しているあたしに、三枝さんは「絵、上手いですね」と褒めた。





「ありがとうございます」と照れくさく言いつつ、さっさと絵を仕上げた。





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