文学乙女
「越野さん…どこにいたんですか?」





「西嶋先生の書斎にいたんです」





三枝さんが代わりに代弁する。





「海底書斎にですか……。越野さん?−目が赤くなってますけど」






あたしはドキッとして、少しキョドる。





「あの…本読んで泣いちゃったんです。…感動したもので」





失恋して泣いたとは言えなかった。





自分の心境で、あんまり周りに心配かけたくなかったため、敢えてウソをついたのだ。







< 235 / 318 >

この作品をシェア

pagetop