文学乙女
宣ちゃんの車で市役所前まで行き、そこから徒歩でお祭り会場へ向かう。





遠くから太鼓の音と同時に、威勢のいい声が聞こえてきた。





大きい山車を引っ張る祭り男達の姿が見えた。





それを見物する人達が、後をたたない。





「盛り上がってるみたいだね」





「うん」





ほのかに吹く夜風に当たりながら、てくてくと夜道を歩く。





お祭り会場に着いたら、もみくちゃにされると思うと、うわぁ〜っと、苦渋してしまう。





そこんとこは、しょうがないか。





お祭り会場は、そんなもんだし。





せっかくだから、楽しんじゃえばいいってことにしよう。





「会場着いたら、何か食べる?」





「もちろん」





宣ちゃんはあっさり答える。





「お祭りの定番は、やっぱたこ焼きかな」





「お好み焼きとかもあるよ」




「あと何ある?」





「う〜ん…あと、ポテトとかチョコバナナもあるよ」




「チョコバナナは、デザートじゃない?」





「でも、お祭りの定番だよ」




お祭りの定番グルメを話題に、夢中で会話をしながら、目的の場所へ向かうのである−。






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