ランチな二人
「…どういう、意味ですか?」


声が上擦りそうになる。


「…嶋村さんが今、大事な時期なのはご存知でしょう?正直、あなたにかまう暇もないほど忙しいはずです」


「え?」


わたしの反応に、森川さんは訝しげに眉をひそめた。


「嶋村さん、あの若さで、次期役員に名前が上がってるんですよ?

今の仕事が片付いたら、アメリカ支社へ行くことが決まってるし…まさか、知らないわけないですよね?」






役員…!??アメリカ…!!??






頭を鈍器で殴られたような衝撃が走る。






「…どうやら、本当に知らなかったみたいですね。私の取り越し苦労だったみたい」


わたしの反応を見て満足したのか、森川さんは不適な笑みを浮かべて離れていった。






――わたしは…、






あまりのショックに、バカみたいに口を開けたまま、その場に立ち尽くしていた。


崩れ落ちなかっただけ、まだマシだったかもしれない…。
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