氷の女王に愛の手を
無意識のうちに、美優の頭上にチョップをしていた。
はっ、しまった。
関わっちゃったじゃないか。
こうなってしまっては仕方ない。作戦変更、早急にこの場から立ち去ることにいたしましょう。
頭を押さえてブーブー拗ねる美優は放っておいて、さっさと買い物を済ませるため羽生さんに質問する。
「とにかく何を買えばいいんですか?」
タルトを作るなんてやったことないけど、それは問題ないだろう。
羽生さんのお父さんは一流ホテルのパティシエで、スイーツに関してはプロ中のプロ。
その血をしっかり受けづいている羽生さんは、そこいらの女子なんかよりお菓子作りが上手い。
彼に任せればケーキ屋顔負けのタルトが出来上がるだろうが、我が家にお菓子作りグッズなどない。
それらの機材もここで買うのだろうか?