氷の女王に愛の手を
そのちびっこは手にDSのソフトを二つ抱えて、食い入るようにパケージを見つめている。
気配を消してさりげなく背後に近付き覗いてみると、ちびっこが手にしているのはポケモンのソフトだった。
なるほど、どっちの色にするのか迷ってるのね。バージョンによって出現するポケモンが違うからね。
「チビ助って、おこちゃま向けのゲームが好きなんだね」
耳元でそっと囁くと、チビ助は勢いよく振り向き、悲鳴にも似た叫び声をあげた。
そんでもって急いでポケモンのソフトを背中に隠して、ジロリと俺を睨む。
ポケモンを必死で選んでるところを見ちゃったら、まったく威嚇にもなりませんよ。チビ助君。
「ななな、なんでカマトトノッポがここにいるんだよ!」
「ねえ、いい加減『カマトトノッポ』ってやめてくれないかな~? ちょっと心外~」
「うっせ! だったらお前も『チビ助』なんて呼ぶな! ていうか俺の質問に答えろ!」
「やっだよ~ん。それよりポケモン選んでたんじゃないの? やっぱ最初に選ぶのは炎タイプ?」