氷の女王に愛の手を
「俺とクレ坊とミューちゃんの恩師で佐藤先生ってのがいるんだけど、名前ぐらいは知ってるよね? その人がちょっと入院してて今度退院なんだ。
だから三人でお祝いの品を作ろうってことになって、買い出し中なんだよ〜」
「はぁ!? なんで俺を呼ばなかったんだよ! 恋のキューピットなんだろ!」
「君は佐藤組じゃないでしょ〜。それに都合の良い時だけ俺を利用しないでほしいよね〜」
「チッ……腐れノッポが」
カマトトから腐れに格上げされたのね。
さてさて、ランクアップした記念に、チビ助に絶望をプレゼントしてあげましょうか。
「実はねチビ助、ちょっとしたイザコザがあって、タクとミューちゃんが二人っきりになっちゃった。てへっ」
「はぁ!?」
耳がキーンってなるぐらい大声をあげるもんだから、いつぞやのファミレスみたいに注目の的になっちまったじゃねえか。
ていうかいちいち騒ぎすぎ。二人はお隣同士なんだから、二人っきりなんてしょっちゅうあることじゃないか。
そんな当たり前のこともわからないのか、今度は殺意が混じった瞳でギラリと俺を睨みつけた。