氷の女王に愛の手を

リンクでは最終グループの六人が最後の調整を行っている。


やっぱ一番前の席は見やすいね。必死で取った甲斐があるってもんだ。


白と黒の衣装を纏ったタクちゃんが見事な3-3を決めれば、全日本チャンピオンの大塚さんが3Aを鮮やかに跳び、羽生さんは男子で彼しかできないビールマンスピンを回る。


そう、この最終グループにタクちゃん、大塚さん、羽生さんの三人が揃ったのだ。


まさに美味しいところの詰め合わせ。ワクワクが止まらないぜ!


滑走順は大塚さんから始まり、そのまま羽生さん、タクちゃんと続く。


タクちゃんにはぜひとも優勝してほしいけど、ぶっちゃけ大塚さんが頭二つ分抜き出ているから、正直優勝は難しいと思う。


羽生さんも今シーズンはすごく調子がいいし、表彰台争いは激しいけれど。


「タクちゃんなら大丈夫」


怪我のせいで国際大会は一試合しか出れなかったけど、SPの出来はかなりいい。


ファイナルに出場した羽生さんよりも高評価を貰えてるんだ。


ただ問題はフリー。結局試合で滑ったのは、全日本の予選だけじゃないっけ?
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