氷の女王に愛の手を

大塚さんのしっぽりとした感じではなく、愉快で楽しそうな軽快なリズムのジャズで、羽生さんの演技が始まる。


最初は小塚さんと同じ、3Lz-3Tのコンビネーション。


バックエントランスからのジャンプ。


着氷で若干乱れて姿勢が崩れたが、構わずトウを突いて無理やりセカンドジャンプを持ってくる。


3-3成功。しかもセカンドジャンプの方が高さがあり、着氷も流れがあってとても綺麗。


普通の選手ならファーストジャンプが乱れたら、セカンドは諦めるかダブルジャンプに変えてくるが、羽生さんは何事もなかったかのように3Tをつけてきた。


それが出来るのは『膝の柔らかさ』が生んだ恩恵なのだ。


膝が柔らかい選手は、固い選手に比べてスケートの一歩一歩に伸びが出たり、ジャンプを柔らかく降りることができるようになる。


膝の柔らかさは持って生まれた天性のもの。


努力で得られるものではない。


ポテンシャルだけなら、小塚さん以上のものを持っているのが羽生さんという人物なのだ。

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