氷の女王に愛の手を
国際大会より国内大会の方が得点がでやすいのは当たり前のことなのだが、この得点にコーチの俺が一番驚いたと思う。
けれど浮かれてはいけない。
もともとタクはショートは得意の選手だ。
ただ体力面に難があり、フリーでは後半に失速。
跳べれるジャンプも跳べなくなり、自爆するというケースがほとんどだった。
本人は技術面の低さが原因だと考えていたようだが、そんなことはない。
技術はトップクラスの物がある。ただ単純に、体力の問題。
己を過小評価することは決して悪いことではないが、変な所を低く見ては伸びるものも伸びやしない。
だけど分からなくもない。
身近に世界最高の技術力を有する幼馴染がいたら、劣等感に苛まれるのも仕方のないことだろう。
佐藤先生から聞いた話では「タクもミューも変なところが頑固であまり言うことを聞かない」とのこと。