氷の女王に愛の手を
普通に体力面のことを指摘したとしても、技術面に執着している奴のことだ。俺の話に耳も傾けないだろう。
だから四回転を出汁に使った。
四回転を跳ぶために体力強化。
作戦は見事成功。タクは四回転という『最高の技術』を手に入れるため。せっせと体力強化に励んでくれた。
四回転なんぞ最初から入れる気はさらさらない。
重要なのは、後半になっても難易度の高い三回転ジャンプを跳ぶための体力=ノーミスの演技。
一応四回転の練習もさせてはいたが、それに時間をかけさせなくて正解だった。
今期からジャンプのダウングレード判定が厳しくなった今、たった数か月の付け焼刃四回転じゃ、ダウングレードされるのが末の山だ。
課題である体力強化は達成された(本人は知らないが)
けれどそれはジャンプの成功率を上げただけ。
一度も試合で滑ることがなかったFPのプログラムに、どうような評価が下るのかは全くの未知数。