氷の女王に愛の手を
視線を逸らして言葉を続ける。
「お前は変に力んでるんだよ。無駄な力は使わないで、軽く跳べばいいだけだ」
口からでまかせが、よくもこうスラスラ出てくるもんだ。
絶対納得しないだろうと視線を美優に向けると、彼女はクスクスと笑い声を洩らしていた。
「ククッ、なにそれ『スケートがしたいです』って言えばいいの? つまらなすぎ、あははっ!」
最後には大爆笑。リンク内に美優の笑い声が木霊する。
周りの視線がすごく痛い。
「……笑うな」
言ったこっちの方が恥ずかしいんだからな!
ごめんとごめんと謝るが、腹を押えて目に涙を浮かべる美優からは説得力が感じられない。
俺のアドバイスの方が説得力に欠けるけど。
「んじゃ、すっばらしいアドバイスのお礼をしないとね」
「お礼?」
チョイチョイと人差し指で近づくように指示をだす。