氷の女王に愛の手を

最終グループ第一滑走。


果たしてこれが吉とでるか凶とでるか。


神のぞみ知ること……。


六分間練習が終わり、タクを残して他の選手はバックヤードに下がり始める。


リンクとリンクサイドを隔てる壁に両腕を置いて、タクは俺の話に耳を傾ける。


「余計なことは考えるな。お前は雑念が多すぎる」


「はい」


「ジャンプはキテる。ステップの取りこぼしに気をつけろ」


「はい」


アメリカじゃ上の空でただ頷いているだけだったが、今はちゃんと返事を返す。


ちったぁ成長したってことか?


「楽しんで来い」
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