氷の女王に愛の手を
【おまけ】
年末の忙しい中、とあるお宅に一人の訪問者が現れた。
お見舞いの品を家主に差し出し、二階の子供部屋へと足を進める。
そこには、年齢と身長が反比例している少年が、額に冷えピタを張ってベッドへ寝ころんでいた。
「やっほ~。インフルだって? 生きてるぅ~?」
一気に顔が引きつる少年、大介。
訪問者、羽生は床に腰を降ろしてニヤニヤと不気味な笑みを浮かべている。
「全日本二位おめでとうございます。三月からの世界選手権に向けて頑張ってください。だからさっさと帰れ!」
祝いの感情など一切込めず、羽生を睨みながら毒を吐く。
仕方ないだろう。間接的とはいえ、羽生のせいで大介は全日本選手権に出場することが出来なかったのだ。
「さっきおじさんと話したよ~。夜遅くまで起きてて風邪ひいちゃったんだってね。愛しのミューちゃんがクレ坊なんかに盗られたことを嘆いてたのかな~?」
図星。勘が鋭いという次元ではない羽生の能力に、大介はみるみる顔を真っ赤にさせる。