氷の女王に愛の手を
スケートで活躍してるなんてもってのほか。俺はなんの成績も残せていない。
モテる要素などどこにあるというのだ。まったく。
「そうだな。そうかも知れないな」
ヤマトの妄想癖には困ったものだ。
会話を打ち切り弁当に箸をつけると、視界から弁当箱が消えた。
顔をあげると、弁当箱を横にかかげて満点スマイルを浮かべるヤマトが写る。なにをする。
「お客様だ」
「お客?」
顎で戸口を指すヤマト。そこには三人の女の子が立っていた。
一人は背が低いショートヘアーの女の子。
その子の後ろにいるロングヘアーの女の子と髪を一本に結っている女の子が、前の子の肩に手を置いてなにやら耳元で囁いている。
ネクタイの色が青いから一年生だろう。
後輩が俺なんかに用があるのだろうか?
さっさと話を聞いたほうが良さそうだ。