氷の女王に愛の手を

それを自覚したのは去年。


シニアに転向して好成績を収めた私は、一気にマスコミの注目の的になってしまった。


とはいえ、テレビの取材に答える程度で私生活になんら変化はなく、ごくごく普通に暮らしてきたのだけれど。


さすがに高校に進学するときは、少々焦った。


中学の時の友人はほとんどいないし、もしかたら「ちょっとテレビに出てるからって調子こいてんじゃねーよ!」とか怖い先輩に絡まれるかもしれないと、ちょっぴりワクワクしていたんだが。


そんなことは全然なくて。


いや、むしろ、普通に接しられて『ハラハラドキドキ、サバイバル学園生活』が水泡に帰してしまったわけで。


なんか、拍子抜けしてしまった。


まあでも、そのおかげでこうして舞と奈々と仲良く出来ているんだから、結果オーライなんだけどね。


絶品唐揚げを舌鼓した所で、二人の会話を思い出す。


えーと、新たな犠牲者がなんとかかんとか。
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