氷の女王に愛の手を
「でもありえないよね。必死の思いで告白したのに『罰ゲームなんでしょ?』なんて言うなんてさ」
かなりの鈍感だった、てことだ。
「私が聞いたのは、下駄箱に入れたラブレターを『間違って俺のに入れたんだな』って勝手に決め付けて、受け取らなかったんだって」
「ら、ラブレター? タクちゃんってそんなにモテモテボーイなんっすか?」
「あんた、小中一緒だったんでしょ。気付かなかったの?」
はい、まったく。
知らなかったぜ。タクちゃんが女の子に人気がある人物だなんて。
舞は呆れ顔で額に手を置き、奈々も苦笑いを浮かべている。
なんだこれ、まるでタクちゃんがモテっ子ボーイだというのがこの学園の常識で、その常識を知らなかった私は異端児みたいじゃないか。
「タクちゃんって、そんなに人気者なの?」