氷の女王に愛の手を

「まあね、顔をいいしスタイル抜群。年間成績優秀者だし、あんたと同じでトップスケーター。
テレビにも『将来有望なイケメン選手』とかで出てたし、ちょっとした芸能人じゃない?
一部のミーハーな女の子には絶大なる人気を誇ってるわよ」


舞の説明だけ聞くと、まるで少女マンガにでてくるイケてる相手役の男の子みたいだな。


顔は悪くないと思うし、日本人離れした手足の長さはスタイル抜群と言えるだろう。


頭が良くて成績優秀者に選ばれたし、全日本で五位入賞。


シーズン中はテレビを観てないからわからないけど、マスコミに露出する機会もあっただろう。


「―――なるほど、言われてみればモテる要素が沢山ある気もしなくともない」


「しなくともないじゃなくて、実際モテてんのよ。ただ―――」


超がつく鈍感なのよね。


溜息混じりに発せられた言葉はまるで重みがあるようで、この場の雰囲気を右肩下がりにしていった。


タクちゃんは自分がしっかりしていると思い込んでいるけど、実はかなりのうっかり屋さんだ。
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