氷の女王に愛の手を

だけどまさか、そのうっかり部分が恋愛の方向にまで影響を及ぼしていたとは、恐怖すら感じるぜ。


「あの調子じゃ先輩、一生彼女なんてできっこないわね」


「舞ちゃんはさりげなく狙ってたもんね」


「ふぇ!? 舞がタクちゃんのことを!?」


「ちょ、ちょっと奈々! でたらめ言わないでよ!」


「ふふふ、ミューちゃんがいなかったらアタックしたのにって嘆いてたのは、誰だったかな~?」


「奈々!」


机を叩きながら立ち上がる。


その衝撃で椅子が倒れて、鈍い音が下から響いた。


舞は顔を真っ赤にさせて奈々を睨みつけている。


その行為が肯定の意味をもたらしているなんて、当の本人は気づいていないだろう。


舞、タクちゃんのことが好きだったんだ。
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