氷の女王に愛の手を

「なんだかんだいって、舞もミーハーなんじゃん」


「か、勘違いしないでよ! 過去の話よ過去! それより、あんただってどうなのよ?」


「へ?」


「好きなでしょ、先輩のこと」


真面目な顔してなにを言うかと思ったら、


「もちろん好きだよ。だって幼馴染だもん」


あたりまえじゃないか。幼馴染なんだから。


舞は奈々と目を合わせると、困ったように眉を下げて椅子を戻して座りなおした。


いやしかし、舞がタクちゃんのことをね。


ちょっと意外ですよ。うん。


そういやお弁当に手をつけていないことに気づく。


プチトマトを摘まんで口に含むと、机の上に置いたケータイが痙攣を起こし始めた。
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