氷の女王に愛の手を
いいともを観ている先生だった。
「おや? タク君どうしてここに?」
どうしてって、こっちが聞きたいくらいですよ。
母さんから先生が倒れたと連絡がきたので授業を抜け出しここに来たのだと言うと、先生は腹をかかえて大爆笑。
挙句の果てに「授業をサボって悪い教え子ですね」なんて怒られる始末。
先生は確かに倒れたのだが、それは疲労によるただの貧血で対したものではなく、倒れた拍子に頭を打ち付けたため念のため検査入院するのだと説明してくれた。
重病でなかったことは良かったけれど、勘違いした俺はかなり恥ずかしい。
丸椅子に座って視線を伏せながら、先生の笑い声が収まるのをジッと耐えていた。
「くくく、相変わらずタクくんはおっちょこちょいですね。私はそう簡単にくたばりませんよ」
「だって、普通倒れたなんて聞いたらそっちの方向に考えちゃうじゃないですか。先生だってもう歳なわけですし」
「そうですね。そろそろコーチ生活の引退も考えないといけませんね」