氷の女王に愛の手を

悔しく情けなくて、握りこぶしを固く握る。


窓には大粒の雫が大量に落ちていた。


「だから、男子の方はタクくんにお任せしますね」


「……え?」


顔をあげると、口角を上げて微笑む先生が視界に写った。


「私はこう見えてもがめつい人間でしてね。男子と女子両方から出したいんですよ」


女子はミューさん、男子はタクくんを。


最後に付け加えた言葉に、爆弾クラスの衝撃を受けた。


男子はタクくんって、それってつまり……。


俺に期待しているってこと?


「あの先生―――」


「先生! 死なないで!」
< 49 / 231 >

この作品をシェア

pagetop