氷の女王に愛の手を

もちろん振付師も世界的に有名なアメリカ人。


俺みたいな半端者に指導を乞わなくて、美優の周りには優秀すぎるほどのスタッフがそろっている。


美優は俺の一言に一瞬キョトンとした表情をするが、すぐにニィっと口角を釣り上げて、


「コーチならアメリカに帰ったよ」


とんでもないことを言い出した。


「帰った!?」


「子供がもうすぐ生まれるって奥さんから電話があったらしくてね、急いで帰ったんだ。
いいよね赤ちゃん。可愛いぜベイベー」


「へーそれはおめでたい……って、お前はそれで大丈夫なのか!?」


「なんで?」


「なんでって……」


来週には全日本選手権があるんだぞ?
< 5 / 231 >

この作品をシェア

pagetop