氷の女王に愛の手を
エッジを巧みに扱い、リンクに円を描くように刻むステップ。サーキュラーステップシークエンス(CiSt)
開始位置と終了位置が円で結ばれることが求められ、描いた円弧に隙間が開くと減点対象になってしまう。
スケーター自身に遠心力がかかるため、難易度が高いステップだ。
ステップを終えて演技残り時間は約一分。
残る要素は三つ。フライングスピン。
跳び上がってからスピンに入るもので、SPでは八回転以上回らなければならない。
ここらで一つ、コーチにアピールしておくか。
リンクの壁際に行き、デスドロップ。
フライングスピンでレベルの上がる入り方の一つで、右足を前に振り上げ飛び上がり、空中で一瞬水平姿勢になり、着氷と同時にシットスピンに続ける高等技術。
ジャンプやステップに自信がない俺でも、このスピンだけなら誰にも負けない。
前に先生に「フライングポジションで両足が氷から離れた一瞬の間がいいですね。まるで空中に浮いているようです」と絶賛されたこともある(基本先生は練習中に選手を褒めることはしないのだ)