氷の女王に愛の手を

GPシリーズは前年度の得点ランキング上位者など、選ばれた者だけが出場できる大会だ。せっかく出場枠が貰えたんだ、中学生だからって出場を辞退する奴なんていやしない。


「そういえば、大介来てますか?」


「いるいる。ほら、あそこで滑ってるよ」


指さす先にいたのは、まぎれもなく大介。


全日本ジュニアチャンピオンにして世界ジュニアチャンピオン。


だが彼は、


「大介は変わってないですね」


背が極端に低かった。


「自己申請では160って言ってたけど、あれは確実に150台だよね~? 下手すりゃ140台?」


羽生さんの言うとおり。彼の周りにはノービスの小学生スケーターも滑っているが、背丈がほとんど変わらない。


中学三年生だから、まだまだ成長期。伸びる希望はあると思うが……それでも低い。


「中三であの背じゃ、もう伸びないね~」

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