氷の女王に愛の手を
「羽生さん……本人に聞かれたら殺されますよ?」
「大丈夫だよ~。飛び掛かって来ても、手を伸ばして頭を押さえたらリーチの差で俺には届かないからさ」
それじゃあどっかのコントじゃねえか。
でもあの体系が、大介の武器といえる。
身体が軽いからジャンプの際高く跳び上がることができるし、体系という弱点をカバーするためにエッジワークとパワーを身につけたから、ステップで最高評価のレベル4を取れたんだ。
努力の天才。頭が下がる。
「あの歳で四回転とか反則だよね~? 結局、昨シーズンはチビ助に一勝もできないままだし、勝てる見込みが皆無だね。どないする?」
「どないするのが今シーズンの課題でしょ? エッジの修正はできたんですか?」
wrong edge。昨シーズンからルッツとフリップの踏切における間違ったエッジが指摘され始めた。
ルッツの踏切はアウトサイドエッジ、フリップの踏切はインサイドエッジで行わなければならないが、間違ったエッジで踏み切る選手が多かったためルールが改正。
ルッツをインサイド、フリップをアウトサイドで踏み切った場合、減点される仕組みになった。