氷の女王に愛の手を

「修正はバッチリ。元々重度のwrong edgeじゃないしね。問題なのはチビ助の方だと思うけどな~?」


「大介が?」


「ほら、あの子重度のリップだし」


そう言ってリンクに目を配る羽生さん。


後を追うように視線を向けると、丁度大介がフリップの助走を始めていた。


前向きに滑り、後ろ向きにターン。


左足で踏切、右足のトウを突いて跳び上がる。


本来インサイドで踏み切らないといけないフリップだが、彼は完全なアウトサイドで踏み切っていた。


あれではe判定を免れない。


というより大介の奴、まだエッジの修正に取り掛かってないのか?


GPシリーズ開幕まで三か月を切っている。とすれば、大介は修正しないまま試合に臨む作戦でいるのだろうか。
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