氷の女王に愛の手を

「み、ミューさん!?」


その声でわかった。


「大ちゃん?」


そこにいた人物が、羽生さんじゃなくて大ちゃんだってことが。


Tシャツにジャージという全く同じ格好でベンチに座っている大ちゃん。


「こんな所で合うとは奇遇ですなー。お星様でも眺めていたのかね?」


「あんのカマトトのっぽ。余計なことを……」


「カマトロ? 私マグロ大好きだけど、カマトロは食べた事ないなー。大ちゃんは食べた事ある?」


「え、あ、いや……ない、です」


これもなにかの縁だろう。羽生さんが来るまで大ちゃんと話をしようと隣に腰掛ける。


こうやって大ちゃんと身近で接するのは初めてかもしれない。


練習中はいちいち気にしてらんないし、大ちゃん自身も女の子が苦手なのか私が近付くと逃げるように去っていくし。
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