氷の女王に愛の手を

額と額をくっつけて熱をはかる。


高熱ってほどじゃないけど、微熱ぐらいはあるかもしれない。


「熱あるんじゃない? フロントからお薬もらってくる?」


「だだ、大丈夫ですから! 離れてください!」


「ふふふ、問題ないよ大介君。馬鹿は風邪引かないっていうからね。うつせるもんならうつしてみろってんだ」


「そうじゃなくて!」


「そうじゃなくて?」


「だから、その……あんまり見つめられると……」


「見つめられると?」


「えと……抑え―――」


「あれ、美優?」


大ちゃん以外の声がかけられる。振り向くと、タクちゃんが目を真ん丸にして棒立ちしていた。
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