氷の女王に愛の手を
うっかり漏らした独り言。
タクは知らないだろうけど、チビ助はタクのことを尊敬しているし憧れている。
つい悪態をついてしまうのも、タクを最大のライバルと認識しているからこその現れ。
そんな相手が想い人の幼馴染なのだ。必死にもなるだろうよ。
まあ、タクは己を過小評価しているから、チビ助は自分より上の存在だと見て違う意味でライバル視していないけど。
それが返ってチビ助の反感を買うんだよね。
俺の独り言など聞こえていないのか、再び大きなため息をつくタクの眉間には、深い皺が刻まれていた。
「どうしちゃったの~? 大事な妹分がチビ助に取られそうで危惧してんの~?」
「そうじゃないけど……なんだろ、こう上手く言葉に出来ないんだよな。大介を応援してあげたい気持ちもあるけど、邪魔したい衝動にかられるというか……。俺って最低な奴だな。はは……」
そう言って、自嘲気味に笑みを浮かべる。
タクはドがつく天然野郎で、超がつく鈍感男だってことは重々承知の上ではあるけれど。